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茶の湯展の感想(茶碗・茶入編)


気が付けば8月になり、しかも立秋も過ぎてしまいました。今年に入って随分と慌ただしい日が続きなかなかブログが更新できておりません。まあ、時間があっても必ず更新できるわけではないのですが…

さて、今日は随分間が空いてしまいましたが、茶の湯展の感想の続きを書いてみようと思います。前回は書画編ということでしたが、今回は茶碗・茶入についての感想です。

今回の展覧会では私が数えた限りでは茶碗では国宝が4点(稲葉天目・油滴天目・喜左衛門・卯花墻)、重要文化財21点、茶入では重要文化財が5点(初花肩衝・北野肩衝・松屋肩衝・富士茄子・在中庵)という顔ぶれでした(数え間違いがあるかもしれませんが…)。

それだけ有名な道具が多かったので、当然これまでに見たことのあるものも多かったのですが、中には今回初めて拝見するものや、以前見た時と随分印象が異なるものもありました。その中で印象に残っているものをいくつか書いていこうと思います。

まずは、やはり稲葉天目でしょうか。静嘉堂文庫の所蔵の曜変天目で、国宝にも指定されている大変有名な茶碗です。実は今回が初めての拝見で、これでようやく国宝の曜変天目3つの全てを拝見することができました。

最近では龍光院のものが一般的に見られる機会が一番少ないように思いますが、ありがたいことに私は高校生の頃に京都国立博物館であった「日本人と茶」という展覧会で拝見する機会がありました。

他に初めて拝見した茶碗としては蕎麦茶碗「花曇」、ととや茶碗「廣島」、「古田高麗」、「千種伊羅保」、釘彫伊羅保茶碗「秋の山」などで、それぞれに大変印象に残っております。

蕎麦茶碗はこれまでに畠山記念館で「蛍」、香雪美術館で「色替」などを拝見いたしましたが、この茶碗も非常に見どころのある綺麗な茶碗でした。この暑い時期に使ってみたいなと思わせるような茶碗だったことを今でもよく覚えています。

ととや茶碗は藤田美術館で「利休ととや」、今回の展示でも出ていましたが三井記念美術館の「かすみ」が印象的でしたが、こちらは赤味がかったまた雰囲気の異なる茶碗でした。こちらの「廣島」は平ととやの代表的な茶碗として有名ですが、現在は個人蔵なのでそうお目にかかる機会があるわけではありませんので、貴重な経験でした。

また、小井戸茶碗「六地蔵」はこれまでに何度か拝見しているはずなのですが(これまではそれほど印象に残らなかったのですが)、今回は非常に良い茶碗に見えました。美術館によって照明の具合も違いますし、何よりも見る側の体調や「目」(実際に感じるのは脳でしょうが)が変わっているということもあるかと思います。

「六地蔵」は遠州公が六地蔵で見出したからこの名が付いたと言われていますが、その遠州公も昔見た余り気に入らなかった茶入が後年見た際には大変良く見えたという逸話が残っています。

人間の好みというのははっきりしてそうで、案外あやふやなものなのかもしれませんね。
裂5
こちらは常設展で拝見したインド更紗です。この写真の上の方の金がキラキラしているのが見えるかと思いますが、金糸が使われているそうです。なお、更紗は茶道具の箱を包む風呂敷などに使われることもあります。



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東京国立博物館「茶の湯」展の感想(書画編)


昨日の京都は一時猛烈な雨が降りました。最近は予め希望する地点を登録しておけばその地域で大雨が予想される際にメールで知らせてくれるサービスがあるので、私は濡れることなく家に帰ることができて助かりました。

さて、今日は1か月近く前に閉幕した東京国立博物館の感想を。本当はもっと早くに記事にするつもりだったのですがすっかり遅くなってしまいましたので「もう書かないでおこうか?」と思っていたら、生徒さんから「茶の湯展の感想楽しみにしています」と言われてしまい書かない訳にはいかなくなってしまいました。

今回の特別展には多くの方が行かれたので、当ブログをご覧の方も見に行かれた方がたくさんいらっしゃることと思います。その方達はよくお分かりだと思いますが、非常に多くの茶道具が出展されておりましたので、種類別の感想を書いていこうと思います。

今日は第一弾として書画の感想を。

今回の特別展では茶の湯の成立から現代に至るまでを展示されていましたので、東山文化の時代に珍重された唐絵なども多く展示されていました。当流ではそういった時代の書院の飾り方を重要視しておりますので、こういった展示は大変嬉しいですね。

有名な画家でいうと牧谿が挙げられますが、伝牧谿筆の作品を含めると私は5点(3幅対なども1点として数えた場合)を見ることができました。その中では淡い筆致で描かれた帆船が印象的な遠浦帰帆図が気に入りました。

他にも伝徽宗筆の鴨図や伝梁楷筆の六祖破経図なども印象に残っています。六祖破経図はちょっとした出来事のせいで印象に残った部分も大きいですが…

墨跡では流れ圜悟(えんご)や宗峰妙超筆の「梅溪」号や小倉色紙の「あまのはら」などが気になりましたが、最も印象に残っているのは、無準師範の「潮音堂」でしょうか。

この書はもとは東福寺に伝来していたものですが、ある時遠州公が手に入れられました。それを茶会で使用していたところ、庄内藩主酒井忠勝(大老の酒井忠勝と記載されることもあるが、誤りだと思われます)に所望され値段を聞かれます。

遠州公は断るつもりで「一字千金」と答えたところ、茶会の途中で持って帰ってしまい後日三千両が届けられたという逸話が残っています。とはいえ、現在残っている遠州公の茶会記に忠勝が出席しており、この軸が掛けられた会の記録がないので詳しいことは分かりません。なお、その後この軸は酒井家を出ることなく、現在は酒井家の所蔵品を展示する致道博物館の所蔵となっています。

このように非常に有名な逸話もありよく知っていた軸で、写真も幾度となく拝見して、実物も高校生の頃に見ているはずなのですが、何が良いのかさっぱり分かりませんでした。もちろん、無準師範という方の書ということを尊重していたということは想像できるのですが、それだけで「一字千金」とは言わないのでは?と思っておりました。

しかし、今回実物を拝見して、「これは一字千金と言うな」と思いました。写真では全く伝わらないと個人的には思うのですが、非常に力強い書体で、墨が落ちた跡など全く気にならない程の迫力を感じました。筆遣いから息遣いまで感じることができそうでした。

その迫力に負けて思わず絵葉書を買ったのですが、やはり写真ではその良さは伝わらないなと思いましたが、それでもあの新鮮な感動を思い出すよすがにはなってくれることでしょう。

他にも色々な茶人の手紙などもありましたが、もっと気になったのは6月25日まで東洋館で展示されていた書でしょうか。以前も書きましたが、私が最も好きな書の一つである顔真卿の多寶塔碑が展示されていたのは嬉しかったですね。しかも常設展示の作品なので、一部を除いて写真撮影可という太っ腹ぶり!

思わず撮った写真がこれです。
書5
上でも書きましたが、やはり写真では良さは伝わらないですね…

他にも常設展では単庵智伝筆の鷺図なども出ていました。
絵1
書画だけでも、それも結構対象を絞ったつもりでもこんなに長くなってしまいましたね…先が思いやられます。




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畠山記念館へ


このところ何日か続けて暑かったですね。京都では日曜日が27.9℃、昨日は26.8℃となり、特に日曜は外国人観光客や修学旅行生も辛そうにしていました。とはいえまだ5月です。夏本番となればもっと暑い日が続きますから、体を慣らしていかないといけませんね。

さて、今日は先月行ってきました畠山記念館の感想を。現在畠山記念館では「茶の湯の名品ー破格の美・即翁の眼」という展覧会を来月の18日まで開催されています。

今回の目当ては松平粉引だったのですが、以前見た時ほど良さを感じることができませんでした。好みの変化なのか、その時の体調なのかは分かりませんでしたが、初めて見た新鮮さを失ってしまったのかもしれません。まあ、それでも良い茶碗だなとは思ったのですが…

もしかすると以前見た時の印象から変に期待し過ぎてしまっていたのかもしれませんね。こういう先入観を持って道具を見ることは余り良くないのでしょうが、なかなか難しいものです。「大名物だから」とか「国宝だから」とかいったことを考えてしまうとそのものを見ることができなくなりやすいと思います。

少し話が逸れてしまいましたね。今回の展示で私が気に入ったものは水指3点です。南蛮の縄簾の水指に、信楽の水指、そして志野の水指「古岸」です。志野は昔は余り好きではなかったのですが、最近は物にもよりますが良いなと思うようになりました。

なお、この「古岸」は現在東京国立博物館の「茶の湯」展に今日から出展されていますので、ご興味がある方はそちらでご覧になってみてください。私も近日もう一度「茶の湯」展に行きますので、もう一度じっくりと拝見しようと思っています。

昔は余り好きでなかったものと言えば、「織部」もそうなのですが、今回畠山記念館に出展されていた黒織部の筒茶碗は良かったですね。配布されている目録に簡単な絵まで描いてしまうくらい気に入りました。

このように好みというのも随分と変わります。今回はそう思いましたが、もう一度行って同じことはきっと思わないことでしょう。かと思えば、道具の取り合わせが毎回似通ってしまうように変化しにくいこともあります。その辺りのバランスを上手に取りながらお茶に向き合っていければなと最近は思います。

他にも、駅まで紋付を着て出迎えたという逸話の残る伊賀の花入「からたち」や古銅の龍耳花入「九州」なども良かったですし、酒器では備前の火襷(ひだすき)の徳利「松風」と「村雨」、刷毛目の盃も良かったです。利休好みの舟形銚子は蓋のツマミが錨の形をしていたのが洒落がきいていましたね。

書画では抱一の十二ヵ月花鳥図と光琳の八橋図・秋草図団扇が良かったですね。光琳の団扇は、団扇の状態で残っている貴重なものということでした。確かに柄から外されて掛け軸として残っているものが多いですね。

12ヵ月花鳥図は私が行った時には4月の「芍薬に燕」の図でしたが、現在は6月のものに展示替されています。他にも展示替がありますので、気になる方はホームページをご覧になってから行ってみてください。


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五島美術館へ


いよいよ大型連休のスタートですね。個人的には松殿山荘の公開などのお茶関係の行事が多く、余り休んでいる暇が無いので実感がありません。今日も松殿山荘で師範者研究会がありましたし、公開の道具も考えて準備をしないといけません…

さて、今日は先日行ってきた五島美術館の感想を。五島美術館では現在「歌仙と歌枕」という展覧会(5月7日まで)を開催されています。五島美術館は東急の創業者である五島慶太翁のコレクションが納められた美術館で、今回が私にとって2回目の訪問です。

翁は生前「強盗慶太」の異名を取る程の経営者だったそうですが、そのコレクションも凄まじいものです(勿論実際に強盗をされた訳ではありませんが)。今回の展覧会は古筆と呼ばれる書作品が中心でしたが、それだけでもそのコレクションの片鱗がうかがえます。

奈良時代から江戸時代までの名人の書を集めた手鑑の「筆陣毫戦」から始まり、高野切(第一種)、升色紙、関戸本和漢朗詠集、本阿弥切、筋切、佐竹本三十六歌仙、上畳本三十六歌仙などが出展されており、他にもまだまだ出ていました。

私が行った時には原本は出ていませんでしたが、今日から5月7日までは国宝の「源氏物語絵巻」も出てきます。なお、私が行った時には現状模写が出展されていました。そちらも凄かったですが、せっかくなら原本を見たかったですね。とはいえ、言われなければどちらが原本か分からない可能性も高いのですが…

個人的に気になったのは、やはり遠州公の茶杓でしょうか。こちらで以前拝見した「清見関」も良かったですが、今回が恐らく初見の「玉川」も良かったですね。歌枕として知られる「玉川」にも色々とありますが、この茶杓の玉川は滋賀県にある「野路の玉川」です。「六玉川」をスラスラと言える方は少ないと思いますが、どれか一つ位は覚えておきたいですね。

また、今回は唐物茶入の「安国寺肩衝」が出ていましたが、歌仙や歌枕にどう関係があるのだろう?と疑問でした。解説を読むと、別名「中山」と言い、歌枕の「佐夜の中山」に因む和歌から来ているとのこと。

言われてみれば、そのような逸話を聞いたことがあるなと納得しました。ちなみにその逸話というのは、細川三斎公が以前別の方に譲った茶入をある茶会で見て、昔他人に譲ったことを悔い「佐夜の中山」と言って茶入を持ち帰り、金200枚を送ったというものです。

これはこの和歌を知らなければ理解できませんね。

年たけて 又こゆべしと 思ひきや
命なりけり 佐夜の中山    (西行)


「こんなに年老いて再び越えられるだろうと思ってもみただろうか。それなのにこうして佐夜の中山を越えることができたのは、やはり命あってのことだなあ」

(『新古今和歌集』 久保田淳 校注  昭和54年 新潮社)から

「この茶入に年老いてからまた再び会えるとは思わなかったなあ、この機会を逃すともう会えないだろう」という意味を込めたのだろうと思いますが、それを即座に言う方も凄いですが、言われて理解する方も凄いですね。

そう考えると昔の人の教養は凄いなと思いますが、この行為を今の感覚で考えると「非常識」と言われるかもしれませんね。ただ、昔はこういったことがしばしばあったようで、茶人の逸話としてこのような話は良く聞きます。


五島美術館に前回来た際は大雪の時でお庭は閉鎖されていましたが、今回は見ることができました。
蹲1
ちょうどシャガが綺麗に咲いていました。庭園の中に茶室が2つあり、そのうちの一つは「富士見亭」というのですが、以前行った方に寄るとそこからは今は富士山が見えないそうです(「富士見てぇ!」と仰っていました)。

代わりに近くの橋から見た富士山を。
富士山1


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藤田美術館へ


日中は暖かい日が続きますが、夕方から夜になると少しヒンヤリしてきますね。こういう時に体調を崩しやすいので注意したいですね。

さて、今日は先日行ってまいりました藤田美術館の感想を書いてみようと思います。藤田美術館では現在、「ザ・コレクション」という展覧会をされていて、前期が今月末まで、後期は6月11日まで開催されています。

この展覧会が終わると改修工事をされしばらく閉館されます。関西では他に野村美術館が来年の秋まで閉館中ですので、関西の美術館に行こうという方はご注意ください。

さて、今回は閉館前の展覧会ということもあってか、非常に充実した展示となっておりました。前期は7点の国宝、9点の重要文化財という豪華さでした。そのせいか、平日に行ったのですが、結構な人が来られていました。

普段はタイミングが良かったのか貸切のようなことが多かったので、ちょっと驚きました。非常に良い美術家なので多くの方に来てもらいたいなと思う反面、余り人が多いとゆっくり見られない…と勝手なことを考えてしまいました。

今回のお目当ては古筆では寸松庵色紙、升色紙、上畳本三十六歌仙で、茶道具では祥瑞砂金袋水指、玉子手茶碗「薄柿」、柿の蔕茶碗「大津」、和蘭白雁香合、油滴天目、曜変天目でした。

今回初めて拝見したのは、上畳本三十六歌仙(他の部分は別の美術館で拝見していますが)、祥瑞の水指、「薄柿」、「大津」などでした。中でも気になったのは「大津」でしょうか。写真ではよく見ていましたが、想像よりも小ぶりな印象でした。しかし、見ているとこれでお茶を飲んでみたいなと強く思わせるような存在感がありました。

後期は現在東京国立博物館で開催中の「茶の湯」展に貸し出されている茶道具が帰ってきますのでそちらも楽しみです。とはいえ、それらは先日東京で拝見したのですが…まあ高野切も継色紙も出ますし、熊野懐紙も気になります。

近いうちにその「茶の湯」展や五島美術館、畠山記念館の感想なども書いてみようと思います。

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藤田美術館へ


今日は寒いですね。京都では日中の最高気温が12月中旬並みになりそうとのこと。今度の当家の茶会では秋の雰囲気を出そうかと思っておりましたが(暦の上ではもう冬ですが)、これは考え直さないといけないかもしれませんね。

さて、今日は先日行ってまいりました藤田美術館の感想を。このシリーズは久しぶりな気がしますが、美術館には時々行っておりました。なかなかブログに書くのは難しいですね。

藤田美術館では現在「桃山から江戸へ」という展覧会をされています。今回の展示を紹介するポスターを見て「ちょっと地味かな?」と思っておりましたが(伝仁清の宝船置物は華やかですが)、行ってみるとビックリするような豪華な展示でした。

そんな「地味」と思った展覧会になぜ行ったのかというと、今回は遠州公の「吾友」という茶杓が出るということを聞いていたからです。八幡名物であるこの茶杓は遠州公が友人である松花堂昭乗に送ったもので、筒に同じく遠州公の友人である禅僧・江月宗玩(こうげつそうがん)が漢詩を書きつけています。

最近は時間が無いのと、気が乗らないせいか茶杓を削ることが少なくなりましたが、遠州公の茶杓が出ると聞けばできるだけ出かけるようにしています。まあ、実物を見ると「こんな茶杓は作れない」とやる気が無くなることもあるのですが…

他に気になったのが、遠州公の束帯坐像でしょうか。こちらは孤篷庵所蔵の坐像を基に描かれていることが一目でわかるもので、遠州公の甥(実子という説もあり)、江雲宗龍(こううんそうりゅう)が描いています。なお、この軸は初公開とのことです。

2階には他にも小井戸茶碗「老僧」や志野茶碗「朝陽」などが展示されていました。

1階は水指が6点展示されており、中でも本阿弥光甫作の手桶形水指が気になりました。また御所丸茶碗の有名な「夕陽(せきよう)」と「藤田」が展示されていました。黒刷毛の「夕陽」と本手(白手)の「藤田」が同時に見られるのはとても良かったです。
贅沢を言えば、2階に展示されていた志野茶碗「朝陽」も隣にあると良かったのですが…

他には、伝遠州所持の刷毛目茶碗も良かったですね。小ぶりではありましたが、厚めにかかった化粧土が織りなす刷毛目は存在感がありました。

展示作品は43点とそう多くありませんが、今回も名品がたくさん出ていて満足できました。展示作品が多いとその時は満足できるのですが、印象に残りにくいと感じることもあります。この辺りは好みもありますね。

昔は展示作品が多い方が良かったのですが、最近はこのくらいの規模の方が良いかも…と思うことも増えてきました。とはいえ、またそのうち多い方が見応えがあって良いと思うことになるのかもしれません。



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続・北村美術館


今日庭掃除をしていると大きな羽音がするので「何が飛んできたか?」と見ると、とても大きな蜂でした。あれはスズメバチの一種だろうと思いますので、しばらくは庭に出るのが恐ろしいです…庭掃除はしないといけませんが、蜂はどうも苦手です。

さて、今日は先日書いておりました北村美術館の感想の続きを。前回も書きましたが、今回の展示では「取り合わせは二の次にして、遠州に係わる品々を集めてみました」とのことで、「廣澤」の茶入が展示されていました。

廣澤の茶入は

廣澤の 池の面に 身をなして
見る人もなし 秋の夜の月

という古歌から銘をつけたと言われています。通常、茶入の蓋(象牙製が一般的)の裏には金箔が貼られていますが、この茶入は月を連想させる銀箔が貼られていると言われています。

今回の展示では、蓋の裏を確認することができませんでしたが、いつかその様子も拝見したいものです。それでも箱書や挽家(ひきや)の字形(じぎょう)も見ることができましたので良かったです。

他に遠州公のゆかりの道具として出されていたのは、石渓心月(「月石渓」とも書かれることがあります)の墨蹟です。遠州公の所持していたとされる月石渓の墨蹟は、今回展示されていたものの他にもう1点存在しています。

そのうちのどちらかが、品川御殿における御成の茶会に使用されたと言われております。今回展示されていた墨蹟にも、もう一方にも遠州公の筆によるとされている箱書がありますので、どちらと断定することは難しいのでしょう。

他にも、遠州公の茶杓や遠州蔵帳記載の「天下泰平」の文字の入った香合も展示されていました。なお、天下泰平の香合は野村美術館でも現在展示されています。北村美術館(6/12まで)のものと野村美術館(6/5まで)のものを見比べてみるのも面白いかもしれませんね。

なお、茶碗は光悦作の黒楽が出ていましたが、遠州公が品川御殿にてお茶を点てた際は同じ光悦作の「膳所光悦」を使用しています。ちなみに、膳所光悦も現在2碗が伝えられています。一方は予備と言われていますが、どちらを使われたのでしょうね。

菓子194
本文とは関係ありませんが、先日のお稽古の際のお菓子です。亀末廣さんの「折りあやめ」です。ふわっと柔らかいお餅で美味しかったです。





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北村美術館へ


今日は暑かったですね。京都では30℃を超えて、7月並みの気温だったとのこと。今年は猛暑になるのでしょうか…今から心配です。

さて今日は先日行ってきました北村美術館の感想を書いてみようと思います。北村美術館では6月12日(日)まで春季茶道具取合展「春を惜しむ」が開催されています。「春を惜しむ」という表題がついていますが、「取り合わせは二の次にして、遠州に係わる品々を集めてみました」とのことでした。

特に、遠州公が品川御殿における御成の茶会に使用したとされる油滴天目と定家卿の「桜散るの文」が目玉として出展されていました。さらには、品川御殿の茶会とは関係ありませんが、中興名物の茶入「廣澤」も出ておりました。

事前にそれらが出ていると知っていたので、「ぜひ行かねば!」と思っていましたが、無事に時間を見つけて行くことができホッとしています。最近行こうと思っていた展覧会に行けないことが多かったですが、今回はギリギリセーフでした。

桜散るの文は以前見たことがあるはずですが、当時は知識が無かったことと、全く読めなかった為か記憶に残っていませんでした。なお、この文は紀貫之の

桜散る 木(こ)の下風は 寒からで
空に知られぬ 雪ぞ降りける

と、凡河内躬恒(おおしこうち の みつね)の

我が宿の 花見がてらに 来る人は
散りなむ後ぞ 恋しかるべき

という和歌のそれぞれ上の句が書かれていることから、そのように呼ばれています。どちらも桜のことを詠じていますが、旧暦5月21日(今年だと6月25日)に使用されています。新暦5月21日(今日)でも、さすがに桜は随分前に散っています。

そのことから、現在ほど「季節感」ということをやかましく言わなかったものと考えることもできます。今ではアジサイの咲く頃に桜と関連する軸をかけると「おかしい」と言われてしまいそうですね。

油滴天目は、遠州公が「油滴天目」と箱書(貼札)してはいますが、実際に見ると所謂「兎毫盞(とごうさん)」や「禾目(のぎめ)」と言われるものに似た雰囲気の茶碗でした。ちょうど先日和天目の稽古をしておりましたので、点前を考えつつ拝見しておりました。この茶碗なら「和天目」では無く、「漢天目」の点前になりますが…

付属の芙蓉(ふよう)台も立派でしたね。あの台だと点前の際、帛紗で拭くのが難しそうでした。なお、茶碗は黒塗の曲(まげ)製の挽家(ひきや)に入っており、その蓋裏に遠州公の筆になる貼札があり、内箱の蓋表には二代宗慶公が「油滴天目」と箱書しています。台の箱は遠州公の箱書とのこと。それらの箱書も展示されているのが嬉しいですね。

茶入のことを書こうと思っていましたが、これだけで長くなってしまいましたね…続きは次回にでも書こうと思います。

明日はギャラリーで茶会があり、来週には当家にて茶事です。想像以上に忙しくなってしまい、来月行きたかった茶会を断念しました。今回は記念の会らしく、昨年も行けなかったので「今年はぜひ!」と思っておりましたが残念です…





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藤田美術館へ


昨日ブログの更新をしようとパソコンと格闘していたのですが、「よしそろそろ完成だ!」と思いタイトルを入力したらなぜか本文が全て消えてしまいました。これはさすがにショックが大きかったですね…一度書いた文章を覚えていれば良いですが、書いてしまうと後は覚えていませんからね・・・

そんなことで思い出しながらの更新となりますが、今日は先日行ってきました藤田美術館の感想を。藤田美術館では現在「花 Hana 華」という展覧会を開催されていて、花に因んだものが展示されています。

今回のお目当ては遠州公の大変好んだ古瀬戸の肩衝茶入「在中庵(ざいちゅうあん)」でした。この茶入はよっぽどのお気に入りだったのか、仕覆が8つ、象牙の蓋が8つ(うち6つは遠州公が誂えたもの)、お盆、さらには在中庵棚と呼ばれる専用の棚まで添っているという豪華さです。

ただ、この茶入が花とどう関連しているのだろうと疑問に思っていましたが、展示されている仕覆が「花」柄ということだったようです。ちょっと無理があるようにも思いましたが、見たかった茶入を拝見できて良かったです。

他には古染付の桜川の水指が展示されていましたね。長板に乗せられることが多いこの水差しは明の時代のものですが、日本には数個現存しております。今年の梅雨頃に東洋陶磁美術館でも拝見する機会がありました。

他に良かったのは熊川(こもがい・「コモガエ」とも)茶碗「白菊」ですね。
熊川というのは朝鮮の港の名で、そこを通って日本に伝来したからこの名がついたと言われています。特徴的な形の茶碗で、口の部分が外側に反っており(端反)、腰の部分が丸く膨らんだ非常に優美な茶碗です。

あとは加賀前田家伝来の「伝仁清」の宝船置物も立派でしたね。こちらは初めて藤田美術館を訪れた際にも拝見した思い出深いお品です。

寸松庵色紙にも再会することができ、以前に比べると読める字が増えていることがとても嬉しかったですね。先日自宅で見ていた掛け軸も数年前にはほとんど読めなかったのですが、今見ると「なんと読みやすい字なんだろう」と思えるようになりました。

この調子で様々な書体に対応できるようになると良いのですが…これからも精進しないといけませんね!

さて今夜は冷え込むようです。風邪を召されないよう皆さまもお気をつけください。
菓子153





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野村美術館へ


お陰様でこのところ随分忙しい毎日を過ごさせてもらっておりますが、自分の処理能力が追いついておらず色々なことが中途半端になってしまっております。手紙を書かないといけないですし、メールの返信もしないといけない。他にも原稿を書いたり、ブログを更新したりとしないといけないことは山のようにあります。

そのせいか、先日も返信したと思っていたメールが送信できていなかったことがありました。もし、「メール返ってきてないよ!」といったようなことがありましたら、督促メールをお送りくださいませ。

さて今日は先日行ってまいりました野村美術館の感想を。野村美術館では現在「没後70年 野村得庵展 -ある近代数寄者の軌跡-」という展覧会を開催されています。なお本日より後期展が始まっており、今回書かせていただく感想は前期のもので、今回ご紹介されていたものの展示は既に終了していますのでご注意ください。

今回良かったのは遠州公の茶杓を4本も見られたことです。地階の展示室で開催されていた「竹を生かす -茶杓と竹花入ー 」という展示会にて3本(「最上川」「紫」「亡羊翁」)、1階で1本(「日吉」)と展示されていました。遠州公の茶杓が一度にこれだけ見られるのは滅多に無いことですから、非常に勉強になりました。

しかも、権十郎篷雪公の茶杓(「片身替」)も見ることができ大変良かったです。最近茶杓を削る時間が取れておりませんが、あのような茶杓を見ると自分も削りたくなりますね。とはいえあれだけ上手には削れないのですが…

それにしてもあれだけ綺麗な竹をよく集めたものだなぁと感心します。私もあんな竹があれば…とも思いますが、竹が良くても腕が…なのでもっと精進しないといけませんね。

他にも茶入では大名物の漢作唐物茶入が2点、中興名物の茶入が1点とこちらも名品が多く展示されていました。個人的には去年見られなかった「上杉瓢箪」(大名物)が見られたのと、薩摩肩衝茶入「忠度(ただのり)」(中興名物)が見られたのが良かったです。

掛け物では雪村筆の「風濤図」や狩野養川院筆の「柳燕図」が良かったですね。とくに「柳燕図」は松平不昧公が賛を添えており、そちらの字も良かったです。「尋」の字が別の字かな?と思ったのが悔しいですが、それ以外はすんなりと読むことができて一安心です。

他にもたくさん展示されており良いものを多数拝見でき良かったです。今日からの後期展示では「種村肩衝」や飛鳥川手の茶入などが気になります。こちらも時間を見つけて行ければと思っています。

海
先日用事があって海のそばに行ってきた際に撮った写真です。近いうちに海沿いでゆっくりとしたいです…




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湯木美術館へ


随分涼しくなってきましたね。朝の掃除の際も気をつけないと風邪を引いてしまいそうです。これからはもっと寒くなっていくのでしょうから、体調管理には充分気をつけたいですね。

さて先日湯木美術館へ行ってまいりました。湯木美術館では現在「禅僧と茶道具―大徳寺を中心に―」という展覧会をされています。

今回の目当ては丹波耳付茶入「生野(埜)」、遠州公作の茶杓「柏樹子」でした。なお後期(10月28日~)の展示では唐物肩衝茶入「富士山」が出展されるのでそちらも気になります。

「生野」は中興名物の茶入で、遠州公が非常に愛玩された茶入です。これまでに数度(2度か?)実見しておりますが、まだその頃は知識が無く(今も不十分ですが)余り記憶がありません。写真はいつも見ているのですが、やはり実物を見ないと分からないことが多いですからね。

今回は仕覆が三つ(四つの仕覆が付属しているのですが、一つは痛みの為か展示されていませんでした)、挽家(ひきや、茶入の入れ物)、内箱・外箱の蓋と江月宗玩筆の添状も展示されていました。

江月宗玩とは桃山時代から江戸時代の禅僧で、遠州公とも非常に深い関係にあります。この茶入を江月和尚は寛永7年9月4日に初めて見たとされていますが、その際かかっていた掛け物(「潮音堂」)とこの茶入に因んだ文が添状には記されています。

なお「生野」の銘は百人一首でもおなじみの

大江山 いくのの道も 遠ければ
まだふみも見ず 天の橋立

の和歌から取られています。丹波の茶入ですから、丹波の名所に因んだのですね。なお同じ中興名物の茶入に「大江」がありますが、あちらはこの和歌とは関係なく滋賀県瀬田の辺りの地名に因んだとされています。

遠州公作の茶杓「柏樹子」は去年も湯木美術館で展示されていたのですが、その際は見られませんでしたので、今回見ることができ非常に嬉しかったです。拭漆が施された非常に薄い茶杓でした。今ではあのように薄い茶杓は怖がられるからか、ほとんど作られることがありませんね。

こちらも江月和尚の筆による筒が展示されており、鏡で全体が見えるように展示されていました。筒の文の内容から、遠州公が孤篷庵の籬(まがき)の近くの竹を切り作ったと分かるのですが、あのような綺麗な竹が近くで手に入るといいですね。

他にも江月和尚所持の砂張合子(さはりごうす)建水や御所丸茶碗「由貴」や柿の蔕茶碗「藤波」も良かったですね。石州好みの土風炉は初めて見ましたが、遠州好みと同じく「乳足」でした。ああ、もっと世間に「乳足」の土風炉が出回ってくれると良いのですが…

そういえば今回展示されていた宗旦の茶杓も拭漆が施されていました。一般に遠州公や宗旦の時代以降は茶杓に拭漆をしなくなったとも言われていますので、面白く拝見しました。なお一緒に展示されていた利休作の茶杓にも拭漆がされていました。

後期も楽しみですが、果たして行けるかどうか…何とか時間を見つけて行きたいですね。

菓子154
柿の蔕に因んで柿のお菓子を。近所の末廣屋さんのお菓子です。




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紹介し忘れた東洋陶磁美術館


全国的に記録的な猛暑が続いていますが、当家は先日植木屋さんに庭の剪定をしていただきましたので風が通りやすくなり、少し涼しくなったように思います。というか思わないとやってられないです。本来はこの暑い時期には剪定しない方が良い木もあるようですが、大きな枝が折れそうな木がありましたので急遽お願いしました。

さて今日はご紹介し忘れていた東洋陶磁美術館の感想を。東洋陶磁美術館では6月28日まで特別展「黄金時代の茶道具-17世紀の唐物」を開催されていました。
唐物とは、中国から渡って来た道具のことで、初期の茶道においては大変珍重されておりましたが、「侘び茶」と呼ばれるものが主流になっていくに連れて次第に使用されなくなっていきました。

しかし、茶道の点前などにおいてはそういった唐物を中心とした名物の道具を扱う点前が依然残っております。とは言うものの、現在そのような道具を使って点前するということはほとんど無いと言っても良いかと思います。

少し話が違う方向に行きましたが、今回展示されていたもので印象に残っているのはやはり青井戸茶碗「柴田」でしょうか(これは「唐物」というよりは「高麗物」と言うべきでしょうか)。この柴田井戸は私が最も好きな茶碗の一つです。井戸茶碗では他にも「有楽」や「燕庵」も展示されていました。
E0033177.jpg
「有楽井戸」 (画像提供:東京国立博物館

唐物では油滴天目や白天目、木の葉天目などの各種天目茶碗に加え、青磁鳳凰耳花生「萬聲」などを見ることができました。祥瑞(しょんずい)蜜柑水指や桜川の水指も見られて良かったです。特に祥瑞蜜柑水指は私の好きな水指の一つなので嬉しかったですね。

ただ一つ残念だったことは図録が売り切れてしまっていたことでしょうか。私が行ったのは最終日でしたが、多くの方がお越しになっていました。

また秋には色々な美術館で展覧会が始まりますので楽しみです。



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紹介し忘れていた湯木美術館の感想


今日からいよいよ8月です。そういえば昨日はブルームーンだったようですね。1月に2回満月があるというのは2~3年に1回のことらしいですね。そんなことは気にせず見ておりましたが、非常に綺麗な月でした。

さて、書くことが無いと普段言っている割に紹介し忘れたものなどが実は結構ありまして、今日はそのうちの一つ湯木美術館の感想を。

湯木美術館では昨日(7月31日)まで「小さな茶道具の豊かなデザイン―香合・羽箒・炭斗をみてみよう―」という展覧会を開催されていました。今回は遠州公作の羽箒「増鏡」が展示されるということで期待して行ってきました(羽箒については以前の記事をご覧ください)。

遠州公作の羽箒ということですので、羽は江戸時代の鳥の羽ということになります。生物学的にみると、400年近く前の鳥の羽が現代まで保存されているということは非常に驚くべきことのようです。

なおそれまで羽箒というのは使い捨ての道具だったようですが、遠州公の頃から立派な箱を作り、保存するようになったと言われております。それだけに今回展示されていた羽箒も箱があり、蓋裏には遠州公が和歌を書かれていました。

一緒に十種羽箒のうちの5種も展示されていました。後期には残りの5種が展示されるということだったので、そちらも行きたかったのですが、バタバタしており結局行けずじまいでした。しかし、前期に見た青サギの羽箒は綺麗でした。飾り羽もついていたのが洒落ていて目を引きましたね。

湯木美術館は来月1日から「禅僧と茶道具―大徳寺を中心に―」という展覧会をされます。中興名物の唐物肩衝茶入「富士山」や丹波の耳付茶入「生野」、遠州公作茶杓「柏樹子」などが展示されるとのこと。

柏樹子は昨年見に行きたかったのですが、無理でしたので今回は行きたいですね。ただ、前期後期の展示替がありますので、どちらも行かないと全てを見ることは叶いません。上手く時間をやりくりしないといけませんね。

木槿4
先日の床の花です。白い木槿が綺麗ですね。私はもう少し木槿が短い方が好みだったのですが、母は「この位の長さが無いと!」とのことでした。しかし、写真を撮る時期が悪かったので、少し花が開き過ぎているように見えますね…



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徳川美術館へ


昨日は知り合いの植木屋さんが来てくださりました。その出来上がりと速さに「やはりプロは違うなぁ」と感じました。掃除についてはブロアーの力も大きいのでしょうが、その他では全く手も足も出ません。私ももっと修行しないといけませんね。

さて今日は書き忘れていた徳川美術館の感想を書いてみようと思います。もう展示期間は過ぎていますが(5/31まで)、開館80周年記念春季特別展として「初音の調度」の全点が公開されていました。

「初音の調度」とは徳川三代将軍家光の娘千代姫が尾張家二代光友にお輿入れされる際に持参された調度品のことで、「日本一の嫁入り道具」としても知られています。なおこれらの調度品は一括して国宝に指定されており、徳川美術館の目玉の展示品ともなっています。

ただ毎年はその中からの幾つかが展示されることがあるのですが、今回は全点展示されるということで行ってきました。なお今回は併設されている蓬左文庫での展示「尾張の茶道と香道」(こちらも展示期間は終了しています)が開催されていました。

そのお陰で普段から展示品が多いのにも関わらず、倍以上の量の展示があったように思います。その為、初音の調度を見る頃には体力を消耗しきっていました。さすがにあれだけ展示があると全てを集中して見るのは難しいですね。

徳川美術館の個人的に好きなところは「大名の数寄」と「大名の室礼」という展示があることです。以前に徳川美術館に行った時も同じようなテーマの展示をされていました。当流では「書院の茶」というものに重きを置いておりますので、こういった展示というのは大変ありがたいです。

で肝心の「初音の調度」はといいますと、想像以上の量で驚きました。あれだけのものに蒔絵を施すとなると、一体何人の人がどれだけの期間を費やして製作したのだろうと気が遠くなりました。また他にも色々とお輿入れの道具があったでしょうから婚礼行列も大変なことになったのでしょう。

ちなみに「初音の調度」の名は、源氏物語の「初音」の帖にある「年月を 松にひかれて ふる人に 今日鴬の 初音きかせよ」の歌意を全体の意匠として採り入れていることから来ています。その歌から「年月」や「連(れ)」などの文字が「葦手書き(あしでがき)」という手法で散りばめられています。こういったものは散りばめられた字を探すのも楽しいです。

なお蓬左文庫での展示では「蘭奢待(らんじゃたい)」の展示がされていました。こちらの蘭奢待は源頼政、東福門院和子(まさこ)などを経て徳川美術館に収まったものとのこと。こちらは切り取られたものですが、本体はご存知のように東大寺の正倉院に収められていますね。

しかし、本当にたくさんの展示で驚きました。書いているとキリがないのでこの辺りで。
徳川美術館1




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根津美術館へ


今日は陽射しがきつかったですが、時折吹く風が気持ちの良い日でしたね。日陰に入ればそこまで暑くないので助かります。これが夏本番となると日陰でも暑いですからね。

さて今日は先日まで根津美術館で開催されていた特別展「燕子花と紅白梅」(もう開催期間は終了しています)の感想を書いてみようと思います。

今年は様々な場所で琳派に因んだ行事が行われています。というのも琳派の代表的な作家尾形光琳の300年忌に当たること、また琳派の祖とも言われる本阿弥光悦が元和元年(1615)に徳川家康から鷹峯の地を拝領し、それから400年経つということに因んでいるそうです。

後のものは随分無理やりという感じがしなくもないですが…まあそんなことで色々と行事が催されています。

さて今回の展示で気になったのは伝俵屋宗達筆・烏丸光広賛「蔦の細道図屏風」です。今の感覚で見ても斬新な構図の絵ですが、当時はどのように受け止められたのでしょうね。

しかしこの屏風のような斜めの線の構図というものが江戸初期に流行していた可能性もあります。遠州好みの金銀貼り混ぜの風炉先屏風などでは、金と銀が斜めに貼り分けられています。また桂離宮の松意軒の金箔とビロードの意匠も思い起こされますね。

後は光琳筆の「孔雀立葵図屏風」も良かったですし、同じく光琳筆で五島美術館蔵の「紅葉流水図団扇」も良かったです。他に驚いたのは香包ですね。香木を包んで保管したり、持ち運ぶものなのですが、折り畳むものなのでそのように工夫された構図なども見所ですね。
なおMOA美術館のホームページで白梅図香包の写真を見ることができます(2015.5.22現在)。

今回の目玉の紅白梅図屏風と燕子花図屏風は人が多くて余り見られませんでした…しかし、どちらも非常に有名なものでよく写真などを目にする機会の多いものですから、自分の中で「こういうものだろう」という印象ができていたように思います。実際に見てみると随分雰囲気が違いました。もう一度見てみると余計な先入観を持たずに見られるかもしれません。

茶道具の展示では石州公の茶杓「時鳥」や三島茶碗「上田」や蟹の蓋置が良かったです。また膳所焼の茶入「大江」も出品されていました。最近なぜか大江をよく見るような気がしますが、耳付の可愛い形で好きな茶入なので嬉しいです。

根津美術館4
ちょうど行った時は園内の燕子花が見頃を迎えていました。実際はもっと綺麗でしたが、人も多く良い構図で写真を撮ることができませんでした。というよりもただ腕が無いだけのような気がしますが…




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京都市東山区にて山荘流の茶道教室を開講しております。
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