今回は火箸と灰匙(はいさじ)です。香合も今回の道具達も炭点前という普段は余りされない点前で使用する道具なので、中々見かける機会は少ないかもしれません。
ではまず火箸から

これは炉用です。木製の柄がついていますが、角を削ってあります(「面取り」と言います)。柄は桑が当流では多いですが、桜や珍しい唐木などを使う場合もあります。
次に風炉用です。

これは柄がないでね。代わりに持ち手の先に飾り(椎の実です)がついております。飾りの種類は他にもあります。
次に両方を並べた写真を

左が炉用、右が風炉用です。
次は灰匙です。これは文字通り、灰をすくう為のお匙です。

左が風炉用、右が炉用です。写真の向きを火箸と揃えるべきでしたね…炉用は火箸も灰匙も雰囲気が似ていますね。
炉用は火箸も灰匙も桑の柄がついていて、面取りがされています。風炉用の灰匙はこの他にもバリエーションがあります。
当流ではこのような物を使いますが、他の流派では形や材質などが異なる場合もあります。流派による違いを探してみるのも面白いですよ。ただ、大きくない流派ではその流派の好みの道具がほとんど手に入らず、やむなく別の流派で使用するものを使われている場合もあります。そこには注意が必要です。
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テーマ : 茶道具
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昨日に引き続き茶道具シリーズです。
今日は香合(こうごう)です。香合はお香を入れておく物ですが、主に炉の時に使われる物、風炉の時に使われるものと分かれています。お客さまに最初に手にとってご覧になっていただく道具なので、お茶事の中では重要な役割を果たします。
ではまず風炉用から。

風炉の時に用いる香合は木製が多いです。この香合は蒔絵はされていませんが、蒔絵がされていてきらびやかな物もあります。なおお香は香木(沈香や白檀など)を使います。
次は炉用です。

炉の時に用いるものは基本的に陶器です。様々な形があり、相撲の番付のような格付もされている程です。なおお香は香木ではなく、練香を使います。千家さんでは販売されているお香(例えは悪いですが、鹿の糞のような形です)をそのまま香合に入れてられるようですが、当流では販売されているお香を4~5個蜂蜜や梅酢で合わせて使います。
今回紹介した使用方法は一般的な場合です。他流はどのようにされるか分かりませんが、当流では炉の時期に木製の香合を使いたいときは椿の葉を敷いて使う場合もあります。また古くは夏(風炉の季節)の暑い時期に、陶器の香合を使うと涼しげで良いと使用したとの話も残っております。臨機応変にすることも必要ですね。
今日はこの辺りで。
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今日は需要は余りないでしょうが、山荘流の教授科目について書いてみようと思います。
当流では、「平点前」、「初等科」、「中等科」、「高等科」、「特別科」と分かれております。流派によっては初伝~奥伝と言ったりするところもあり、様々な種類分けがされていると思います。
なお当流では初等科までを3年、中等科~高等科までを4年の合計7年で卒業する目安で考えております。しかし現在では中々7年で高等科卒業まで到達される方はいらっしゃらないです。
では今日は平点前について見ていきましょう。
・風炉薄茶
・薄茶二服点
・薄茶二枚茶碗
・薄茶重ね茶碗
・薄茶点前交代式
・風炉炭点前
・風炉濃茶
・炉薄茶(四畳半・台目)
・炉炭点前(四畳半・台目)
・炉濃茶
以上10科目です。10科目と言うと「多いな」と思われるかもしれませんが、途中の二服点等は余り差異がありませんので、実質的には風炉薄茶、風炉炭点前、風炉濃茶、炉炭点前、炉薄茶、炉濃茶の6種類と考えてもらっても大丈夫かと思います。1年程度でこれらを習得していただくのが理想です。
なお二服点等のところはどう違うのか?と言いますと、同じ茶碗を使って2回お茶を点てるか、別の茶碗を使うかの違いです。この辺りは習いに来ていただければ具体的にお伝えできますが、中々文章で説明するのは難しいですね。
この平点前はその後の全ての教授科目の基礎となるものなので、しっかりと身に付けることが重要となってきます。
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毎日ブログを書いていると「今日は何を書こうか?」と常に考えています。今まで日記などを書いたこともありませんでしたので中々苦労しています。そもそもブログを書いて自分の考えを公開するということは理解できないと考えていましたので。
またこのブログだけでなく、当流の点前や歴史等をまとめた冊子を作るべく少しずつ準備をしております。これも中々大変な作業で遅々として進んでおりません。
加えてお世話になっているある流派の方から、その流派で出されている機関誌への寄稿を依頼されてしまいました。このブログをご覧になっていらっしゃる方ならすぐにお分かりになるかと思いますが、私にはこの通り文章力がありません。ブログを見てくれている友人には「(文章が)固い」「長い」「もっと分かりやすく」と言われます。こんな私で大丈夫なんだろうか?と心配になりますが、お声かけいただけるということは大変ありがたいことなので、精一杯がんばろうと思います。
こういった状況なので、締め切りに追われる作家の先生になったような気分です。文章力がないと言いながら、作家になったつもりになるなんて都合のいい話ですね。しかし茶道の楽しさを伝える為にはこういった方法も上手く活用していくことが必要ですし、少しずつ上達していければと思っております。
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先日より行っている「柳桜園さん以外のお茶屋さん探し」についてです。
今回は地元のお茶屋さんの大谷園さんです。昨日の研究会と今日の稽古で使用させていただきました。
昨日は濃茶に「東福の昔」、薄茶に「鳳凰の昔」を使いました。今日はどちらのお茶も濃茶として飲んでみました。
「東福の昔」は近所に東福寺というお寺がありますので、そちらから命名されているのでしょう。味は先日飲んだ一保堂さんの「駒昔」と比べるとまろやかな味でした。香りもやさしい感じではありましたが、しっかりと香るお茶でした。その後薄茶としても飲んだのですが、濃茶に比べるとすばやく茶筅を振るので余計に香りが立ってきました。母は香ばしい香り(火香と言ったりします)が強めと言ってましたが、その辺りは好みによりますね。
「鳳凰の昔」は薄茶用という感じがしました。単独で飲んでいたら違う印象だったと思いますが、「東福の昔」と比べると味・香りとも見劣りする気がしました(値段などを考えると当然ですが)。
個人的には大谷園さんのお茶の方が、一保堂さんよりも好みに近い味・香りでした。なおお稽古に来られている方達も同じ感想だったようです。まあお稽古に来られている方は私と母の好きなお茶ばかりを飲んでられるので、私達に洗脳されているのかもしれないですが…
さて次はどこのお茶を試してみましょうか?皆さんもおススメ!というお茶があれば教えてください。そうこうしているうちに柳桜園さんが「小櫻」を販売される時期になってしまいそうですが。
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今日は当流の師範者の研究会でした。私が担当の当番だったので、道具等を準備することになり当家よりいくつか持っていきました。掛け軸は小堀宗舟公の書かれたものを使わせていただきましたので今日は宗舟公について書いてみようと思います。
山荘流は高谷宗範が創始した流派ですが、宗範は小堀遠州流十二代、小堀宗舟(政休)公に茶道を習いました(概要は当教室のホームページをご覧ください)。
宗舟公は明治維新の後、茶道の家元(当時は遠州流と称されていたようです)として一般に茶道を広める為に活動されます。晩年(明治26年頃~)には関西へ赴き、大阪においては遠州流茶道保存会の設立に関わり流派の発展に寄与されました。また明治32年には山口県の萩にまでも茶道を教授する為に行っていらっしゃいます。そして明治34年8月京都大徳寺の孤篷庵にてお亡くなりになります。詳しくは小堀宗通(小堀遠州流先代家元)著『続 松籟随筆』(平成3年、村松書館)をご覧ください。
なお宗範は宗舟公が関西にいらっしゃる時に茶道を習っており、様々な伝書を賜っております。宗舟公は晩年目を患われたようですが、そのような中においても大量の伝書を書写し、宗範だけでなく宗範の娘達にまで与えてくださっています。茶道を後世に正しく伝えるという気概には本当に頭が下がると同時に、そのお陰で当流が存在することができるのだと感謝しなければと改めて思います。本当にありがたいことです。
そういった意味で今年初めの研究会において宗舟公の掛け軸を使わせていただきました。私も宗舟公にあやかり、次の世代へ茶道を正しく伝えていけるように全身全霊で取り組んでいこうと思います。
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先日の記事で一保堂さんの「駒昔」というお茶の感想を書きましたが、今日はその時と随分違うように感じました。
今日もまずは濃茶として飲んだのですが、香りが前回よりもはっきりとしていました。味も前回より穏やかでしたが、後からしっかりとした苦味がくるような感じは変わりませんでした。この苦味は私はちょっと苦手でした。
その後で薄茶として飲んだらより香りが立つ感じがしました。泡をたてることで苦味も落ち着き、良いバランスになったように感じました。私はこのお茶は薄茶で飲んだ方が良さが出ると思います(濃茶用と想定されているようですが)。こればかりは好みや飲む時の条件(水や温度、濃さなど)によって大きく違いますので、絶対にこうだとは言えませんが。
お店によっては「濃茶用」、「薄茶用」と分けてお茶を販売されているお店もありますが、今回のように用途を変更して飲んだ方が好みに合う場合もあります。ただ、薄茶用を濃茶として飲むのはちょっとしんどい場合もありますので注意してください。
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私が柳桜園さんのお茶が好きということは以前の記事でも書きましたが、いつも柳桜園さんでも芸が無いのではと思うこともあります。そこで先日一保堂さんのお茶を買ってみました。

こんな風に包装されています。紙を取ると

こんな感じです。このお茶は今年の新年用のお茶で、今月の15日までの期間限定販売だったようです。
一保堂さんのホームページには
「今年の新春抹茶の特長は『爽やかな旨み』。ひとくち含むと、旨みが口いっぱいに広がりますが、飲み終わった際には、もう一服いただきたくなるような軽やかな余韻が特長です」
と書かれていました。
今日は濃茶で飲んだのですが、結構主張するお茶だと思いました。「爽やかさ」というよりも、後から苦味が押し寄せてくるような感じです。味の感じ方は人それぞれですから皆さんがどう感じるか分かりませんが私はこのように思いました。もちろん味は点て方によっても変わるので明日も同じように感じるかは分かりません。ただ、今日の感じから考えるとはっきりとした味が好みの方には良いのではないかと思います。私は穏やかな味が好きなのでちょっと合わなかったようです。
なお同じお茶は新春用特別抹茶「若松の昔」「青雲」として今月末まで販売されているようですので、興味がある方は飲んでみられてはいかがでしょうか?このように一保堂さんは中身が同じお茶でも名前が違う物もあります。お茶屋さんによってはそうされている所もありますので、買われる時には良くお店の方に確認してみましょう。
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最近「茶杓削り」を始めました。お店でも茶杓は売っておりますが、自分で削ることもできます。
竹屋さんで竹を購入し(もちろん自分で竹やぶに行ってきて切ってくることもできますが)、水に数日間つけておき、ろうそくの火であぶり竹を曲げます。

(この茶杓は私が削ったものではありませんが…)
最初は横着をしてガスコンロであぶったら、案の定、焦げて折れてしまいました。しかしろうそくであぶるようにしてからは上手く曲げられるようになりました。とりあえず現在は端材で曲げることと削ることを練習していますが、削る方が中々上手くいきません。しかし少し慣れてきたようで、それなりの形にはなってきました。そろそろ1本きっちりと削ってみようと思います。
難しいですが、時間を忘れて没頭してしまいます。教室でも希望があればやってもらおうと思います。良かったらぜひ皆さんも削ってみてください。案外ハマるかもしれませんよ。
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今日は「大寒」で一年で最も寒いとされる日でした。
古い茶室は暖房設備が無い場合が多いので、暖かさを演出するために色々と工夫します。例えば口の広い釜を使い湯気がたくさん昇る姿を見せたり、口のすぼまった茶碗(筒茶碗など)でお茶が冷めにくいようにしたりします。また食事の時の最初に出される「向付(むこうづけ)」も普段の刺身ではなく、暖かい料理に変更する場合もあります。
ただしこれだけでは現代の暖房に慣れてしまった我々にはやっぱり寒い時も多いです。その為、茶席に行かれる際は暖かい格好でお出かけされる方がいいですね。ただ暖房が効いている部屋であればかえって暑くなってしまうので、新しい茶室なのか確認してからにしてください。
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昨日今日と東京へ行っておりました。東京はビル風がきついので、気温よりも寒く感じますね。
以前「広告塔」という記事で書きましたが、着物で東京へ行くことはほとんどありませんでした。ただ今回はホテルで着物に着替え、そのまま京都まで帰ってきました。果たして広告塔の役割を果たせたのかは疑問ですが、最低限の仕事はこなせたのかな?と思います。
今日は色々とお茶を習われている若い世代の方とたくさんお話をすることができ、非常に刺激を受けた一日でした。もっと精進しようと思うことができ、いつもありがたいなと思います。
今日は皆さんお待ちかね(?)のお菓子です。

上は京都の末富さんの「福宝」というお菓子で、下は大阪の福寿堂秀信さんの「干支煎餅」です。なお干支煎餅はいただき物です。
今回は馬が駆けているように並べてみました。
このようなお菓子を「干菓子(ひがし)」といい、茶道では薄茶の時に出されることが多いです。最も薄茶の時でも「主菓子(おもがし)」と呼ばれるお饅頭等のような物が出されることも多いです。
このような干菓子であれば餡子(あんこ)が苦手な方でも食べられると思います。外国の方には「餡子が食べられない」という方も結構いらっしゃるのでそういった方にも喜んでいただけます。
今日はセンター試験の日ですね。毎年この頃に大雪になって交通機関が乱れている気がします。受験生の方は早めにお家を出て、落ち着いて試験に望めるといいですね。私も今日から東京へ行くので新幹線が止まらないことを祈ります。
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先日お誘いを受けてあるお茶会に行ってきました。
薄茶席と濃茶席があるとのことで、千家さんの濃茶点前を見る良い機会だと思って行ってきました。ただ座った位置が悪くお点前の方の背中しか見えませんでしたが、大体の動きは後ろからでも十分分かりました。
しかし私が気になったのはお点前よりも他のお客さまの動作で、やはり流派によって随分違うものだなぁと改めて思いました。表千家の方と裏千家の方がいらっしゃったようなのですが、同じ千家でも差がありました。当流と比べてしまうと、2つとも同じように見えてしまうような違いではありましたが…
なので「お茶を飲む時はこの方法しかなく、他は間違い」なんて思う必要はありません。時々「それ間違ってるわよ」と「指摘」されることもありますが、気にされる必要はありません。畳の縁を踏まないようにするといったことは、どこもそのようにされると思いますが、正客の座る位置(上座)は、部屋によっては、流派ごとに違う場合もあります。
みんな一緒であればはっきりして良いという考え方もできますが、みんな同じではつまらないとも思います。それぞれに良さがあり、歴史があります。茶席で他の流派の方がいらっしゃれば、その流派の作法も尊重することが大事だと思います。
なおその会の席主の方は表千家の方だったのですが、私の振る舞いなどを見て「裏千家ですか?」と尋ねられました。裏千家に間違われるのは初めてでした。
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