五島美術館へ
いよいよ大型連休のスタートですね。個人的には松殿山荘の公開などのお茶関係の行事が多く、余り休んでいる暇が無いので実感がありません。今日も松殿山荘で師範者研究会がありましたし、公開の道具も考えて準備をしないといけません…
さて、今日は先日行ってきた五島美術館の感想を。五島美術館では現在「歌仙と歌枕」という展覧会(5月7日まで)を開催されています。五島美術館は東急の創業者である五島慶太翁のコレクションが納められた美術館で、今回が私にとって2回目の訪問です。
翁は生前「強盗慶太」の異名を取る程の経営者だったそうですが、そのコレクションも凄まじいものです(勿論実際に強盗をされた訳ではありませんが)。今回の展覧会は古筆と呼ばれる書作品が中心でしたが、それだけでもそのコレクションの片鱗がうかがえます。
奈良時代から江戸時代までの名人の書を集めた手鑑の「筆陣毫戦」から始まり、高野切(第一種)、升色紙、関戸本和漢朗詠集、本阿弥切、筋切、佐竹本三十六歌仙、上畳本三十六歌仙などが出展されており、他にもまだまだ出ていました。
私が行った時には原本は出ていませんでしたが、今日から5月7日までは国宝の「源氏物語絵巻」も出てきます。なお、私が行った時には現状模写が出展されていました。そちらも凄かったですが、せっかくなら原本を見たかったですね。とはいえ、言われなければどちらが原本か分からない可能性も高いのですが…
個人的に気になったのは、やはり遠州公の茶杓でしょうか。こちらで以前拝見した「清見関」も良かったですが、今回が恐らく初見の「玉川」も良かったですね。歌枕として知られる「玉川」にも色々とありますが、この茶杓の玉川は滋賀県にある「野路の玉川」です。「六玉川」をスラスラと言える方は少ないと思いますが、どれか一つ位は覚えておきたいですね。
また、今回は唐物茶入の「安国寺肩衝」が出ていましたが、歌仙や歌枕にどう関係があるのだろう?と疑問でした。解説を読むと、別名「中山」と言い、歌枕の「佐夜の中山」に因む和歌から来ているとのこと。
言われてみれば、そのような逸話を聞いたことがあるなと納得しました。ちなみにその逸話というのは、細川三斎公が以前別の方に譲った茶入をある茶会で見て、昔他人に譲ったことを悔い「佐夜の中山」と言って茶入を持ち帰り、金200枚を送ったというものです。
これはこの和歌を知らなければ理解できませんね。
年たけて 又こゆべしと 思ひきや
命なりけり 佐夜の中山 (西行)
「こんなに年老いて再び越えられるだろうと思ってもみただろうか。それなのにこうして佐夜の中山を越えることができたのは、やはり命あってのことだなあ」
(『新古今和歌集』 久保田淳 校注 昭和54年 新潮社)から
「この茶入に年老いてからまた再び会えるとは思わなかったなあ、この機会を逃すともう会えないだろう」という意味を込めたのだろうと思いますが、それを即座に言う方も凄いですが、言われて理解する方も凄いですね。
そう考えると昔の人の教養は凄いなと思いますが、この行為を今の感覚で考えると「非常識」と言われるかもしれませんね。ただ、昔はこういったことがしばしばあったようで、茶人の逸話としてこのような話は良く聞きます。
五島美術館に前回来た際は大雪の時でお庭は閉鎖されていましたが、今回は見ることができました。

ちょうどシャガが綺麗に咲いていました。庭園の中に茶室が2つあり、そのうちの一つは「富士見亭」というのですが、以前行った方に寄るとそこからは今は富士山が見えないそうです(「富士見てぇ!」と仰っていました)。
代わりに近くの橋から見た富士山を。

当教室ではただいま新生活スタートキャンペーンを実施中です。皆様もこの機会に茶道を始めてみては如何でしょうか?
詳しくはこちらをご覧ください。
ランキング参加中です。
↓こちらのクリックをお願いします。

にほんブログ村
いつもご協力ありがとうございます。